最近では時代劇もすっかり少なくなりましたが、越後屋をご存じない方は少ないかもしれません。
時代劇で、悪代官と「越後屋、おぬしもワルよのぉ」といった密談をしている商人のことですね。
もちろん、こんな話はフィクションであって、実際には越後屋というのは江戸時代の優良企業だったのです。
越後屋は、三越デパートの前身です。
越後屋が商売をしていた江戸時代といえば火事が大きな問題でした。
当時は消防技術もありませんでしたから、一度火の手が上がってしまえば木造の町並みはあっという間に火の手が拡がったわけです。
そして、一瞬でそれまで築き上げてきたものを全てを失う時代だったのです。
ところが、こんな大変な時代であっても越後屋だけはV字回復できたのです。
なぜなら、越後屋には現代の顧客リストというべき顧客台帳があったからです。
火の手が上がると、越後屋の番頭は命の次に大事な顧客台帳を井戸に放り込んで逃げたそうです。
井戸に放り込んでも字が消えないように、顧客台帳には墨で書いた文字の上から”ろう”でコーティングがされていたそうです。
そして、火の手が収まった後に、井戸から顧客リストを取り出し過去のお客様に営業をして回ったのです。
「先日の火事で全て失いました。どうか、お助けください。」と得意先を回って仕事をもらったのです。
他の商人が途方に暮れている時にも越後屋だけは着々と復活の道を迷わず進めた理由です。
このビジネスモデルは、鉄板モデルです。
今も昔も、そしてこの先ずっと変わらないと思います。
今日も最後まで読んでくださってありがとうございます。