個人事業主や小さい会社が、創業資金を借りたい場合は、日本政策金融公庫の国民生活事業部か、信用保証協会を経由して、地元の金融機関で制度融資を利用するのがオススメです。金利はどちらも2%〜3%ぐらいを想定していれば間違いありません。また、どちらでも非常に融資が下りやすいです。借入期間は、運転資金と設備資金とで異なりますが最長で5年程度です。250万円借りて金利3%であっても、月々の返済は5万円程度となりますので無理なく返済が可能です。
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新規創業資金を無担保で貸してくれる機関
個人事業主や、会社であっても従業員が社長1人のような会社が、新規創業資金として500万円ぐらいまでの融資を受けるための方法をご紹介します。
大きく2つの方法があり、1つは「日本政策金融公庫の国民生活事業部」もう一つは「信用保証協会」を利用する方法です。
これらは、組織の規模として10名から100名ぐらいまでを対象としていると考えてください。
また、融資の対象としては、飲食業などのビジネスでも大丈夫です。
融資を受けるために、会社を設立する必要もありません。
どちらの機関であっても融資が下りやすい理由
「日本政策金融公庫」も「信用保証協会」であっても、余程の問題がない限りはお金が借りられます。
その理由は、ある程度の金額までは保険がかかっているためです。
つまり、融資が焦げ付いて、取りっぱぐれることになっても保険で補填できるため損をしないのです。
なぜ、このような保険があるかというと、なるべくお金を借りやすくすることで新規起業をする人たちを金銭面で支援しようという国の方針があるためです。
①日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は、100%政府が出資をしています。
事業部がいくつかあり、融資対象として規模の小さいところから国民生活事業部(旧:国民生活金融公庫)、中小企業事業部(旧:中小企業金融公庫)、といった感じです。
500万円程度の融資の場合は、国民生活事業部が担当してくれます。
融資を受けたい場合は、全国に支店があるので近くの支店で審査を受けることになります。
融資の種類もいろいろあって、その種類ごとに金利が変わってきます。
実績、担保、保証人など、あるいは、政府が力を入れている制度融資などは金利が安くなります。
その中には創業資金というのがありますので、創業の場合はこれを利用することになると思います。
金利は、2%〜3%と思っていれば間違いありません。
例えば、500万円借りて、それを5年で返済する場合を考えてみます。
年間返済額は、100万円になります。
つまり、金利を乗せても、月々の返済額は10万円未満です。
少々乱暴なことを言えば、仮に事業に失敗したとしてもこれぐらいの金額であれば十分に返済が可能であることがわかります。
融資の期間
融資の期間は、資金の使途によって変わってきます。
資金使途とは、運転資金なのか設備資金なのかの違いです。
運転資金とは、納税費、人件費、給料など、資産にならない経費に使う資金として借りるもので、借り入れ期間は最長で5年です。
設備資金とは、お店作り(土地・建物の購入)、機械、自動車など、決算書のおける資産となるものに使う資金として借りるもので借り入れ期間は最長10年です。
ただし、資産の場合は、その償却対応年数の範囲内でしか借りられません。
例えば、購入した機械の償却対応年数が6年であれば、その期間を買うために借りる資金の最長返済期間は6年ということです。
返済の猶予
返済金額は、経費にならないので事業で得た利益から返済することになります。
つまり、年間返済額が100万円の場合は、返済のための儲けを年間で100万円以上出す必要があります。
仮に、儲けがそこまで出せなかった場合は返済ができなくなります。
ただ、その場合でも、どちらの組織を利用した場合でも返済期間を延ばしてくれることを検討してくれます。
ただし、返済期間を伸ばすとデメリットがあります。
次に融資を受けようとした場合に、以前の返済実績として残ってしまうのです。
つまり、新しい融資を受けにくくなる可能性があります。
返済期間の猶予の仕組みがあるからと言って、無駄に伸ばすことはしない方がいいということになります。
②信用保証協会
信用保証協会とは、実際にお金を融資してくれるのは銀行となるが、その間に入って保証してくれる組織です。
この組織が間に入ってくれるため、銀行は融資をすることのリスクがなくなります。
信用保証協会は、東京都であれば”東京信用保証協会”となり全国の都道府県にあります。
政府系外郭団体という位置づけとなります。
この組織を使うと、地元の銀行などの金融機関からお金が借りられる上に、担保の保証人も要らないという特徴があります。
将来的なことを考えると、地元の金融機関とつながりを持っていることは悪い話ではありません。
信用保証協会を利用する場合の金利ですが、日本政策金融公庫の場合と比べると少し複雑な仕組みになります。
ただ、結果的には同じぐらいの金利として2〜3%で融資を受けることができます。
具体的には、まず保証料として保証料が1%前後がかかります。
これに加えて銀行の方の融資金利として、制度融資などを使った場合に1〜3%となります。
この2つの合計で2〜3%で借りられるということになります。
制度融資があるため借りやすい
自治体による、制度融資という中小企業を支援するための貸し付け制度があります。
東京都の場合にも制度融資という制度があります。
その中に創業資金用の制度融資があるため、これを利用すると信用保証協会経由で融資を受けやすくなります。
信用保証協会で融資を受けるための手順
申し込みは、銀行などの金融機関経由、または、保証協会へ直接出向くかのどちらかになります。
付き合いのある銀行がある場合は、普段お付き合いのある行員に聞けば担当者を紹介してくれます。
ただ、今から個人や1人社長で新規創業しようとしている場合には銀行との付き合いがない場合がほとんどでしょう。
そんな場合は、直接保証協会に行って事業の詳細を説明して相談してください。
地元の信用保証協会は、都道府県名を頭に付けてインターネット検索すれば見つかるはずです。
例えば、大阪府にお住まいなら「大阪 信用保証協会」で検索します。
信用保証協会の窓口で、あなたが今から始める事業の話を説明して融資が受けられそうであれば、保証協会の方であなたの希望の銀行に連絡を入れてくれます。
結局「日本政策金融公庫」と「信用保証協会」のどちらを選べばいいのか?
「日本政策金融公庫」と「信用保証協会」との比較で絶対的にこちらがいいという話はありません。
どういったスタンスで融資を受けたいかという価値感の話になります。
それぞれで融資をしてもらった場合の特徴を理解してあなたの価値感に合う方を選んでください。
まず、「政策金融公庫」は、純粋にお金を貸してくれるだけの機関と言えます。
お金を融資してくれて、毎月ちゃんと返済をしていれば何の連絡もないのが政策金融公庫です。
誤解を恐れずに言えば、ドライな関係を求めるならこちらかもしれません。
一方で、「信用保証協会」を使う場合は、お金を貸してくれるのは銀行になりますので銀行とのお付き合いになります。
お付き合いをするメリットとしては、銀行からビジネスの情報をもらってやり取りをできたり、将来的に新たな融資を受ける際などの相談もしやすくなります。
デメリットとしては、銀行側の言うことも聞いて上げる必要があるため、積み立てを依頼されるなどの面倒くさいこともあります。
ただ、一方で、お客さんを紹介してもらえるなどのよいこともあるのも事実です。
逆に言えば、面倒くさいのが嫌いな人はやめた方がいいかもしれません。
同時に審査申請してもいいのか?
「日本政策金融公庫」と「信用保証協会」を比較した場合、どちらが融資の審査が早く通るのか気になると思います。
また、融資の審査申請をする場合はどちらを優先すればいいのかも気になるかと思います。
創業するわけですから、一般的には早く融資してもらいたい人がほとんどです。
融資が下りれば、すぐに設備を購入したり、あるいは内装工事を依頼して準備をしたいはずです。
そう考えれば、早く融資が下りる方を優先するべきですし、のんびりと待っている余裕はないケースがほとんどです。
結論から言いますと、「信用保証協会」を利用する場合は、信用保証協会と銀行など金融機関の2つを経由するため時間がかかります。
一般的には、「日本政策金融公庫」の方が早く審査が通るはずです。
ただ、実際に融資の依頼をしてみないと結果は分かりませんので、「日本政策金融公庫」と「信用保証協会」両方同時に融資の審査を依頼するべきです。
そして、早く融資が下りた方から借りればいい訳です。
もちろん、両方の審査が通った場合は、一方に対してはお断りをすることになりますし、お断りする方は嫌な顔をします。
あるいは、「金利を安くするからうちから借りてくれ」と言われる可能性もあります。
その場合は、待てるようなら少し待って金利の安い方から借りてもいいと思います。
審査が通って融資が下りるまでのどれぐらい時間がかかるのか?
「日本政策金融公庫」と「信用保証協会」のどちらも、融資依頼のやり取りに出向くのは2,3回です。
そして、早ければ1,2週間で融資が下ります。
借りる側の準備が足りなくて資料が不足していて回数がかかったとしても長くても1ヶ月ぐらいで融資が下ります。
なお、前述の通りに信用保証協会を利用した場合の方が一般的に時間がかかります。
たくさん借りた方がいいのか
実は、「日本政策金融公庫」と「信用保証協会」のどちらも500万円程度までなら借りやすいのが事実です。
ですので、借りられるだけ借りることも可能です。
もちろん、資金使途を明確にする必要はありますが、資金使途については”運転資金”として使うと説明すれば問題はありません。
例えば、飲食店などの場合は、最初の半年ぐらいは売上が上がりにくいため店を回すための資金が実際に必要になると思います。
こういったお店を回すための資金を運転資金といいますので、この運転資金として多めに借りればいいわけです。
ただ、大きな金額のお金を借りる場合は注意が必要です。
本当に必要であれば借りてもいいと思いますが、必要がないのに借りてしまうと”たがが緩む”可能性があります。
人によっては、自分の銀行口座に大きなお金が振り込まれると、お金に関する感覚が麻痺するのです。
事実、私の友人の元金融マンは、経験から初心者は最初借りるお金はなるべく少ない方がいいと言っています。
なぜなら、ビジネスの力が入らなくなって失敗する確率が上がってしまうからです。
安い金利でたくさん借りるというのは、ビジネスのお金の回し方が身についてからでも遅くありません。