高度な英語力がなくてもGoogle翻訳やDeepLなどの機械翻訳を使えばそれなりの翻訳文のアウトプットができます。そこそこの英語力と翻訳対象の専門分野があることが前提ですが、機械翻訳をベースに作った翻訳文が依頼元の求めるレベルあればビジネスとして成立します。
翻訳文化なんて残るのか?
ショボい英語力とは言っても、TOEICでなら700点以上ぐらいは必要です。
また、翻訳のニーズがある専門分野の知識も必要です。
例えば、ITに詳しい方なら英語圏のIT情報の翻訳ニーズは山ほどあると思います。
翻訳ビジネスは、特に仕事を請けるのに資格も不要で、法律の規制はないので”翻訳家”と名乗ったもの勝ちです。
そして、顧客のニーズに応えられればビジネスとしては成立します。
真面目な方、特にこれまで一度でも翻訳の仕事をしようとお考えになったことのある方は、恐らく、どこかの翻訳会社の採用ハードルを越える必要がある、あるいは、どこかの偉い先生のお墨付きをもらう必要がある、などと思われているかもしれません。
ただ、あなたのアウトプットする翻訳に価値があるかどうかは”市場”が判断するということです。
逆に、どこかの偉い先生に評価されているからと言って仕事が入ってくるわけではありません。
市場がその価値を決めるというのは、今の時代はすべてビジネス対して同じ事が言えますし、これが今後のビジネスのスタンダードだと思います。
先日、あるTogetter(トゥギャッター)の記事にちょっと感情が動きました。
ちなみに、Togetter(トゥギャッター)とは、Twitterのツイートを集めて公開できるウェブサービスです。
はてなブックマークなどによく登場します。
その記事は、東京大学の教授のツイートまとめでした。
「日本語で培われた翻訳文化」と出版関係者への警告
https://togetter.com/li/1787025
内容は、先日翻訳書の書評を依頼されたが、どうやらGoogle翻訳のようなサービスを利用して翻訳されたきらいがあるということでした。
そして、出版者がこんなことをやっていては、日本語で培われた翻訳文化が廃れるという主張です。
趣旨は分かりますし、共感する点もありますが、私の意見としては時代の流れとして廃れても致し方ないと思います。
そもそも、従来の翻訳には、時間的、金銭的コストがかかりすぎます。
金銭的コストも問題ですが、致命的なのは今の時代のスピードの早さへの対応の方です。
このスピード時代に何ヶ月もかけて翻訳を作っても、ほとんどの分野において完成時には時代遅れになっている可能性が高いです。
少なくともITをはじめとしたテクノロジーの世界では、スピード的には従来の翻訳のやり方ではほぼ通用しない時代になっています。
金銭的コストの高さも問題で、翻訳はフルに人手でやりますし、それ以上に言うなれば高い英語力という特殊技能を持った専門化による仕事のため高額です。
そして、こういった問題のあった翻訳業界を尻目に、今回のコンピュータによる機械翻訳で翻訳本が作られる時代になったわけです。
翻訳本の作成は、専門化にしかできない仕事であるが、”だった”に移行しつつある時代だと思います。
新しい形の翻訳ビジネス
使ってみると一目瞭然にわかりますが、今のコンピュータによる機械翻訳の精度はすごいです。
例えば、先日、iPhoneのOSの新しいバージョンとして登場したiOS15に付属している「翻訳」アプリもその使い勝手の良さと精度にビビります。
お持ちの方は試して欲しいのですが、口で話した内容をリアルタイムに外国語に翻訳してくれます。
今は、コロナ過で難しいですが、外国にこれを持っていってどれぐらい使えるのか試してみたい衝動に駆られます。
もちろん、従来からあるGoogle翻訳やDeepLといった文章の翻訳も何年も前からそこそこ実用に耐えるレベルになっています。
私は”そこそこ”と表現しましたが、”十分”と表現する人も多いでしょう。
ここまでの精度があれば、新たな翻訳ビジネスの形として、こういった感じで翻訳を作るのはどうでしょうか?
それは、機械翻訳を使ってアウトプットした訳文をベースに、人手で体裁を整えて完成させるという形態です。
機械翻訳だけでは、おかしい翻訳、意味が分からない翻訳が残るため、その部分だけを人手で修正を入れるわけです。
このタイミングで、最初に申し上げたそこそこの英語力と専門性知識が必要になります。
そして、何より必要なのが国語力です。
この方法なら従来の専門化によるスクラッチからの翻訳に比べれば、アウトプットまでの速度は劇的に高まるはずです。
そして、このアウトプットが市場に受け入れられるならビジネスとして成り立つわけです。
多分で、英語が全くわからない保守的な方には受けないサービスです。
なぜなら、そういった方は、権威を信じて成果物の信頼性を疑わずに受け入れるからです。
一方で、そこそこ英語ができて低コストでスピードのある仕事を望む方には受け入れられるはずです
そして、業種によってはリピート依頼も十分に考えられます。
もちろん、これまで翻訳の専門化として君臨してきた権威の方々には認められないでしょうが、私はこの形態で十分にビジネスとして成り立つと思います。
もともと翻訳は自宅でする副業としてよくやられてますが、その働き手の範囲がすごく英語ができる人たちだけから、そこそこ英語ができる人にまで広がるというイメージです。
どうやって集客するのか?
以前のプログラミング副業の動画でもお伝えしましたが、最初は、クラウドソーシングのマッチングサービス、ランサーズ、クラウドワークスなどで仕事を探してください。
こういったマッチングサイトの仕事の受注形態はコンペなのですが、価格を下げて提案すると受注できる可能性が高まります。
この場では、稼ごうとは思わずに、経験を積むつもりで価格を下げて受注数を増やして経験を積むことを目的にしてください。
稼ぐのは次のステップになります。
この場で、仕事をしていると、他者から仕事を受けるということがどういったことで、どういったトラブルが起きるなどが分かってきます。
そして、そこそこ慣れてきたら、早い段階でクラウドソーシングの場からは離れます。
経験を積むことが目的の場なので、クラウドソーシングサービスに長居する必要はありません。
そこで、次のステップでは、自力で仕事を探します。
「自力で仕事なんて受けられるのか」と思われる方も多いと思いますが、依頼する側としてはクラウドソーシングサービス経由で頼むのも、直接頼むのもリスクは全く同じです。
どちらかというと、仕事を受ける私たちの方が取りっぱぐれのリスクが生じます。
私は、副業であっても、小さくても一国一城の主になることをオススメします。
そのための集客の「王道」の方法は、自分で集客用のLPを作って検索広告を出す方法です。
LPには、先ほど申したコンセプトである、そこそこ英語ができて低コストでスピードのある仕事を望む方向けのメッセージを書いてください。
ところで、LPを作るだけではアクセスがないので広告を使う必要があります。
ただ、翻訳の仕事は単発では利益が少なすぎて広告費に見合いません。
一方で、リピートが見込めるビジネスなので、それを見越して広告を使った集客にチャレンジする価値もあります。
もし私の身近に、自宅にいる必要がある人がいて、その方がそこそこ英語力があって専門性もある人ならば、この方法でチャレンジしてみるように助言すると思います。
ビジネスの仕方としては、あなたの翻訳の実力を双方で納得するためにも最初は無料で受けるといいです。
実力を認めてもらえれば、その後のお付き合いが始めるということです。
ただ、世の中には、この”無料”を悪用する人もいるので注意してください。
要するに、タダで仕事をしてくれる人を次から次に食いものにする人です。
そういった方は、2回目は最初から考えていません。
英語もできないのに翻訳ビジネスなんてと言うのは固定観念です。
翻訳を望む人がすべて出版レベルの精度を求めている訳ではありませんし、そもそも英語の情報が簡単に手に入る時代だからこそ翻訳のニーズが高いと思います。
自分の英語力を活かしたいと思っている、あるいは、専門分野の英語情報を取りながら自らの英語力も高められる機械とお考えの方はチャレンジしてみる価値があると思います。
繰り返しになりますが、サービスとして成立するかどうかは、お上やその道の権威が決めるのではなくて市場です。