褒める教育がスタンダードになっている日本ですが、褒める教育は各所で否定されています。モンテッソーリ教育もそうですし、アドラー心理学でも、褒められないと行動しなくなる、また、人間関係の上下の関係を生み出すと否定的です。そう考えると最も人間関係をよくする方法はやはり感謝するということかもしれません。
褒めるのがスタンダードの時代
今回は、褒めることを止めた方がいいというお話です。
誤解を恐れずに言えば、感謝は褒める行動の代替のために使えます。
本質的には両者は全く異なる行動なのですが、これまで褒めるという行動を取っていた人は、それを感謝に変えればやめられます。
もちろん、褒めるをやめるかどうかはご自身で判断してください。
褒めることは特に悪いことではないように思えるのですが実は違うのです。
理由が分かると納得しますが、私も最初に褒めるのはダメと聞いた時はギョッとした記憶があります。
ところで、20年位前の話ですが、私はサラリーマンの時は、後輩を全く褒めずに、ミスや欠点を指摘してそれを改めさせる指導をしてきました。
私はやり過ぎだったかもしれませんが、当時としてはある意味このチェック指導は普通のやり方でした。
ただ、もうすでに、その頃から”褒めることも必要”という話を聞いていたのですが、自分には全くできない行動だったので困惑していました。
ここ近年は、特に子育てにおいては、日本の伝統的とも言える厳しい躾による子育てが時代遅れと言われ、欧米式のほめて育てるが偏重されるようになりました。
そして、なぜか過去を反省することになって、これまでの日本の伝統が見事に方針転換されて、褒める教育がスタンダードになってしいました。
そして、私も褒める方がいいかなとなんとなく感じていたので、その流れに特に違和感を感じることもなかったです。
また、年を重ねて、徐々に人を褒められるようになっていきました。
ところが、その矢先に、今度はこの話つまり「褒めてはいけない」ということを知ったのです。
褒めてはいけない理由
最初に、褒めるのがだめと知らされたのはモンテッソーリ教育の指導者からでした。
モンテッソーリ教育は子ども教育の1つですが、ご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが今回は説明は省略します。
子どもを褒めて育てると、褒められないとやらない子になるからだそうです。
褒められるというご褒美に慣れて、大人の顔色をみたり、評価を気にする子になるということです。
ただ、これは子育ての段階の子どもの話であって、大人の世界では関係ないだろうと思っていたのです。
ところが、次に現れたのがアドラー心理学です。
大ベストセラー「嫌われる勇気」を読んでこのことを知らされてけっこうな衝撃を受けました。
大人の世界でも褒めるのがだめなのは、褒めることで上下関係が成立するからです。
この上下関係がある限り、人間関係がうまくいかなくなるということです。
これは、上下関係が当たり前にあると思われがちな職場での上司・部下、先輩・後輩の間でも同じことが言えます。
つまり、理想は、仕事上のポジションにかかわらず上下関係なく対等であるべきということです。
そうしないと、上司や先輩に褒められることを目的に部下や後輩が行動するからです。
事実、今の職場はこういった状況が跋扈していますが、これは子どもの頃の賞罰教育の結果とも言われています。
ただ、そうは言っても相手を褒めたいタイミングがありますよね、その場合にどうすればいいのか?
それが、感謝するです。
褒めるを感謝に変える
相手を褒めると上下関係のある縦の関係になってしまうので、対等な関係を維持するために感謝をするわけです。
感謝は、上下関係を生み出さないということです。
感謝するときは、シンプルに「ありがとう」でいいと思いますが、もっと気持ちを伝えたい場合もあると思います。
仕事や作業の成果を高く評価したい場合は、「すごいね」になると思いますが、これもちょっとニュアンスが変わると褒めるに近くなります。
そういった場合は、「すごいね、あなたのおかげで感動できた」ぐらいまで具体的に表現すると間違いなく感謝として伝わると思います。
ただ現実問題として、全く褒めないというのは、いきなりは難しいとは思います。
ただ、上下関係ができてしまうということを理解できていればいいと思います。
そうすれば、自然と使い方が変わってくると思います。
ちょっと話が変わりますが、よく使われるワード「ご苦労様」は、基本的に上司から部下へのねぎらいのことばです。
テレビのドラマなんかでも普通に目上の人に対しても使われているので、気にしないで目上の人にも使っている人も多いと思います。
ただ、本来はは上司から部下へのねぎらいの言葉です。
私は、「お疲れさまです」の方を使っていました。
ところが、これも相手が社長クラスになると使わない方がいいですし、社外の方にも使わない方がいいようです。
そういう意味では、感謝の言葉である「ありがとう」、「ありがとうございます」は万能まではいなかくてもかなり無難です。
よく「ありがとう」は、魔法の言葉とも言われますけど、こう言う意味でも万能と言えるかもしれません。